公益財団法人 乃村文化財団

財団について

財団の設立について

香川県高松出身の乃村泰資たいすけ(1873-1948)は、足袋職人から舞台の道具方に転じ、さらに伝統的な菊人形興行に新たな演出を加えた「段返し」※を考案しました。
泰資の人びとに“歓びと感動”を届けたいという思いは、大衆娯楽のダイナミックな空間演出技法を生み出す源となり、現代における空間プロデューサーとして、またこれを生業とする乃村工藝社の創業者として活躍します。
その後、展示装飾・演出技術は、時代とともに進化し発展を遂げ、「ディスプレイ業」と呼ばれるひとつの産業として確立されました。
いまや、ディスプレイは私たちを取り巻くあらゆる空間に存在し、私たちの生活に不可欠なものとなっています。

乃村文化財団は、先人たちの創意工夫にあふれる進取の精神を継承し、多様なコミュニケーション手段を通じて より豊かな未来が実現するよう、ディスプレイのさらなる発展の一翼を担う、という志のもと、乃村工藝社創業130周年記念事業の一環として設立されました。

※ 段返し
物語の進展に応じて奈落からのせり上げや天井からの吊り下げ、
舞台袖の書割を駆使して幕間なく一瞬のうちに場面転換する仕組み。

「十二段返し舞台模型」 乃村工藝社蔵